(5)「自由人」という考え方

 あなたは、自由ですか?

 こう訊かれて、はっきりと「はい、自由です」と答えられる人は
少数派ではないでしょうか?


なぜなら、自由が何だかよくわかっていなかったりするからです。


 自由主義経済圏に住んでいる私たちは、人を害さない限り、あら
ゆる自由を認められています。住むところ、働くところ、信じる宗
教、好きなことを話す、表現すること、何でも自由にやっていいこ
とにはなっています。


 でも、本当に自由を謳歌できている人は、どれだけいるでしょうか。


 では、なぜ自由を謳歌できないのでしょうか?


 それは、自由に行動することは憲法でも認められていますが、自由
に行動するための「こころ構え」ができていないからだと思います。


 自由に行動するための「こころ構え」とは何か。


 人は行動をする前に、どう行動するかを考えて(無意識の場合もあ
りますが)行動します。この考える時に、こころが自由でないと、い
ろいろな束縛がかかってしまう場合があるのです。


 どういうことかと言いますと、例えば、おしゃれをして街に出かけ
たいと思っていても、誰も行動を制約していないにもかかわらず、自
分にはおしゃれは似つかわしくないと勝手に思っていたりすると、そ
の行動を制限してしまう(無意識に行動を制限しているかもしれませ
ん)、つまり、おしゃれして出かけられないというケースがあります。


 また、「あなたは自由に住むところを決めていますか?」と質問さ
れて、「都内の会社に30分で行ける駅で、買い物に便利な駅前のマ
ンションを選んだ」という答えが返ってきた場合、これって、自由に
決めたといえるでしょうか。


 自分の意思で、自由にその場所を選んだのだから、自由に決めてい
るようにも見えます。もちろんそうなのかもしれません。


 でも、決めた理由が、会社に近いという理由で選んでいませんか。
住みたい場所を住みたい理由で選んでいないような気がします。


 もっと言うなら、なぜ都内なのですか。もし、その人が空気のきれ
いな環境のいいところに住みたいと考えているとしたら、東京には住
みませんよね。会社が東京にあるから、東京の中の、通勤に便利な場
所という理由で選んでいる場合が多いのではないでしょうか。


 もし、その会社で働かなくていいなら、東京には住まなかったはず
です。その会社で働かなければならないのは、お金のため? 自己実
現のため? 


 ここが最も重要な分岐点です。自己実現のため、つまり自分の、人
生の目的のためにそこで働いているのならば、どこに住むかは、空気
のきれいな環境で暮らすこととその会社で達成されるであろう自己実
現の満足感との間のプライオリティの問題になるでしょう。


 でも、もしお金のために働いているのであれば、先程の理由では
“自由に”住む理由を決めたとは言えないのではないでしょうか。


 この例のように、自由ということをちゃんと意識して暮らしている
人はなかなか見当たりません。なぜでしょうか?


 多くの人は、まずお金ありきで物事を選択し、行動しているからで
はないでしょうか。学校を卒業してなぜ、就職するのでしょう。それ
は、親から自立して生活できるようにお金を稼ぐためですよね(最近
は、パラサイトといって自分で多少稼いでも、実家に寄生して自立し
ていない人も増えていますが)。


 つまり、お金から自由になっていないからです。


 「そんなこと言っても、お金を稼がなきゃ暮らしていけないじゃな
いか。」という声が聞こえてきそうです。


 もちろんそれも正しいのですが、発想として、暮らすため、生きて
いくために働くのではなくて、自分の人生を生きるため、自分らしく
生きるために仕事を選びませんか、ということを言いたいのです。


 「何をきれいごとを言っているんだ」というお叱りも受けそうです
が、そういう(こころの)自由を獲得できれば、どんなに人生が楽し
くなることかということをお伝えしたいのです。


 先日、メガバンクに勤める友人が「ストレスで、十二指腸潰瘍がで
きた」と言ったので、ストレスの原因を聞いたあと「ところで、君は
何をしているときが楽しい?」と訊きました。すると、その友人は
「そういえば、何も楽しいことはないなー。強いて言えば、仕事をす
ることかなー」と答えたのです。


 私は「さもありなん。でも、仕事が楽しいというのは本当かなー」
と思いました。彼は楽しいことが浮かばない生活をしているのです。
もちろん、仕事はやりがいもあるでしょう。でも体を壊すほどストレ
スに見舞われています。


 更に彼は言います。「今の年収(約1200万)より少なくなって
よければ(約800万円)、今と同じようにやりがいが持てる仕事が
できて、ストレスを感じないで仕事ができる先はあるんだけど、今の
水準の生活は捨てたくないからなー」


 もちろん彼の自由意志で選択して決めているようですが、そこには、
(こころの)自由が本当にあるのでしょうか。いつまで続くかわから
ない今の高給と今のいいと感じている生活という「幻想」を信じて、
現状を変えようとはしていないとは映りませんか?


 彼にこそまさに、パラダイム・シフトが必要だと痛感します。


 私は「自由人」という生き方を自分でも実践し、多くの方に広めた
いと思っています。


 「自由人」とは、生きるための仕事をせず、自分の大好きなことを
して生きていく人です。自分が好きなことをしていて、結果的にビジ
ネスに結びつき、お金になってしまうということはままあります。


 そのためには、もちろん生活するためのお金を確保する必要はある
かもしれません。「かもしれない」というのは、あった方がいいです
が、無くてもできないことはないと思っているからです。

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