2007年8月27日月曜日

ヘゲモニー(覇権)

20年ちょっと前、私の学生時代ですが、不勉強な私でも2つだけ興味を
持った教科がありました。それは、国際関係論と哲学です。その教養学部時
代の国際関係論の授業で、心に残ったことが2つあります。


 それは、ヘゲモニー理論国家変遷形態です。後者が前者の一部だったか
定かではないのですが、かいつまんで説明します。


 何か難しそうなことを書くのかと思われるでしょうが、もう少し我慢して
読んでください。これからの日本にとって重要なことを含んでいるからです。


 また、私の専門でも何でもなく、記憶ベースで書いていますので、専門家
の方はお許しください。


ヘゲモニー理論とは、ヘゲモニー(世界覇権)の変遷(移り変わり)を論じ
たものです。
まず、英国が世界覇権を大航海時代にオランダ、スペインから奪
取した後、産業革命を経て200年近くの年月の繁栄を享受しました。しかし、
二つの世界大戦によって疲弊した英国に取って代わったのが、当時の新興工業
国アメリカでした。


アメリカは、政治的には世界の共産化を防ぐべくソ連との冷たい戦争を続ける
一方、経済的繁栄を謳歌しました。60年代に最初の黄金期
パックス・アメリカーナ)を迎えた後、二度の石油ショックによる
スタグフレーション(低成長と高インフレが並存する最悪の経済状態)に苦しん
だ時代もありましたが、ソ連崩壊後、軍事・政治的には完全な一国覇権を手にし
ました。94年の不況の後(この間ダウは3500ドルから4000ドルのボッ
クス相場)、NYダウが94年末の4000ドル弱から、ITバブル崩壊に至る
2001年に11000ドルをつけるまで急上昇しました。このように経済的に
は、第2期黄金時代といわれるような大繁栄-パックス・アメリカーナの時代を
迎えています。


 この第2期黄金時代を迎える前の、アメリカが苦しんでいる時点での講義だっ
たのですが、「ヘゲモニーは、英国から大西洋を渡りアメリカにいき、次は太平
洋を渡り、日本か、それを飛び越えて中国にいくかはわからないが、変遷してい
く」
というのが、当時の国際関係論の先生のヘゲモニー理論の趣旨だったと記憶
しています。


 ヘゲモニー(覇権)国の通貨は世界の基軸通貨となり、その繁栄を支えること
になります。今のアメリカはその地位を存分に利用しています。英国もそうでし
たが、通常、債務国に転落した国はその覇権を失うことになるはずです。債務国
に転落した場合、金本位制であれば金保有量を保持できなくなり、基軸通貨足り
えなくなります。1971年8月のニクソン・ショックにより金本位制を放棄し
たことが幸いしたのか、現在は金ではなく、国の信用によって成立する通貨制度
に基づく、信用通貨となっています。もちろん、信用通貨というものは、信用と
いう砂上
にありますから脆いもので、通常であればアメリカが債務国へ転落
という事態、更にはその債務の雪達磨式の増大で、通貨の信認は崩れ、基軸通貨
の地位はおろか、通貨価値の暴落、インフレ高進、経済崩落という大変な事態に
なるものです。


 ところが、米ドルの基軸通貨の地位は保たれ続け、通貨価値は下落したものの、
経済は繁栄を続けています。その理由は、二つ考えられます。一つは、軍事力を
背景にしたアメリカの政治力、もう一つは、アメリカにとって代わる国が無かっ
たということです。


 一つ目ですが、ソ連崩壊により唯一無二の軍事大国となり、世界の警察となっ
ていたことにより、世界がアメリカに依存している状態となっていました。プラ
ザ合意(85年)にみられるように、政治力を駆使し、自ら通貨価値を減じるこ
とにより、自国債務の実質的棒引きを図ることに成功してきました。


 二つ目については、EUがその候補足りうる期待はありましたが、誕生したば
かりでまだその実力がありませんでした。でも、日本には覇権を握るチャンスが
あったのです。